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L’Arc~en~Cielはビジュアル系か? ポップジャム事件

L’Arc~en~Cielは明確に「ビジュアル系ではない」という姿勢を貫いているにもかかわらず ビジュアル系と いわれることがあります。

「ビジュアル」「ビジュアル系」とは?

「ビジュアル」(「ヴィジュアル」)は英語で「visual」と書き、日本語の意味は「視覚的」で、視覚に関連する情報や表現を指します。
一般的には「ビジュアル」とは「特定のサウンドを示す言葉ではなく、化粧やファッション等の視覚表現により世界観や様式美を構築するもの」といわれています。

ビジュアル系 全盛期

いつからビジュアル系という言葉ができた?

1989年にX JAPANがリリースした2枚目のアルバム『BLUE BLOOD』のキャッチコピーが「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」であったことや、音楽雑誌『SHOXX』のサブタイトルが「ヴィジュアル&ハードショック・マガジン」であったことから「ビジュアル」という言葉が認識され始めました。

いつからビジュアル系が流行りだした?

1993年くらいからライブハウスなどで言われるようになっていたそうですが、一般的に「ビジュアル系」が認知されるようになったのはSHAZNAがブレイクしてきた1997年頃だと言われています。

代表的なビジュアル系バンドは?

ビジュアル系四天王と呼ばれているのは「La’cryma Christi」、「SHAZNA」、「FANATIC◇CRISIS」、「MALICE MIZER」。「X JAPAN」、「DEAD END」、「BUCK-TICK」、「LUNA SEA」、「黒夢」、「ZI:KILL」、「GLAY」などもビジュアル系といわれることが多い。

インディーズ時代のラルクのビジュアル

1991年に活動を開始したL’Arc~en~Cielのビジュアル(見た目)を振り返ってみます。
hydeはまるで女性のような長髪でドレスのような衣装などが多くお化粧もしています。
tetsuはメイクもバッチリしていて長い髪をカラフルに染めたり逆立てたりしています。
kenは短髪で派手さはないのですが、メイクはしっかりしています。
ドラマーがsakuraになり、sakuraはそれほど派手な印象はなくワイルドな感じです。
その後、yukihiroになりましたが、メイクもほとんどしておらず髪もおとなしめです。

NHKポップジャム事件

L’Arc~en~Cielの有名な話しとして5月1日放送『ポップジャム』事件があります。
1999年4月19日、NHKの音楽番組『ポップジャム』の収録がありましたが、当時番組のMCであった爆笑問題の太田がL’Arc~en~Cielことを「ビジュアル系」と発言したことでリーダーのtestuが激怒し、その後 2曲演奏する予定であったが1曲しか演奏せず、「HEAVEN’S DRIVE」の演奏時、tetsuはコーラスパートを無視し、ステージをおりる際に自分のベースを雑に扱うなど相当不機嫌にステージをおりた、と後日、日刊スポーツで報道されました。
数ヶ月後の雑誌の取材で、大人げないのでは?という意見に対し「俺は大人だなんて一言も言ってないし、自分が大人だなんて思ってない。大人げなくて結構」とインタビューで答え、この態度に「その通り」「ラルクはビジュアルではない」という賛成意見、「見た目はビジュアルだから仕方ない」「腹が立ってもその態度はプロとしてどうなのか」と賛否両論。

真相は? tetsuの発言

tetsuは後年、自身の本『哲学。』で、『ポップジャム』での出来事について1曲しか演奏しなかったとか、ベースを雑に扱って、キレて帰ったなど 日刊スポーツで報道されたようなことではないと否定しています。
確かに不機嫌であったそうですが、それは爆笑問題やNHKに対して怒っていたわけではなく、番組の出演時に要望などを事務所、レコード会社を通して番組に伝えていたにも関わらず、司会の爆笑問題に伝わっていなかったこと、番組構成もしっかり打合せが出来ていなかったことが判明。
その場でNHK、ラルクメンバー、スタッフが話し合い、お互いに気持ちよく仕事をする環境が整っていないため、このまま収録を続行することができないという結論に達し、NHK側のスタッフ、爆笑問題に挨拶をして次の仕事へ向かった。司会の爆笑問題やNHK側のスタッフに責任がある訳ではなく、メンバーの意思を相手側に伝えなかったラルク側のスタッフに責任がある。うちのスタッフに対してもっとちゃんとやってくれという意味での行動だった、と語っています。

真相は? 爆笑問題 太田の発言

長い沈黙を経て、2019年2月にラジオ番組において爆笑問題の太田は、俺には何もキレてないし、俺たちにはむしろ「すみません」って。彼らの名誉のために言っておくけど、本当に真摯な態度で「申し訳ありません」って帰って行った。番組プロデューサーからNHK側のミスでと伝えられたなど発言し、tetsuが一方的にキレて帰ったのはないと判明。
爆笑問題 太田の発言について tetsuyaはニコニコ動画の「てっちゃんねる」で、太田さんの口から言っていただけると説得力がありますよね。自分達のレコード会社とトラブルにはなったがNHKとはトラブルにはなっていない。NHKにはその後オリンピックのテーマもやらせてもらった、と語っており、ラルクが『ポップジャム』でキレて帰ったというのが事実ではないということがハッキリしました。

L’Arc~en~Cielの取り扱い

『ポップジャム』事件以降、テレビ番組やラジオなどでビジュアル系バンドとしてL’Arc~en~Cielが取り上げられることは少なくなりました。
レコード会社からCDショップなどに「L’Arc〜en〜CielのCDやアルバムはビジュアル系のコーナーに展開せず、J-POP、ROCKのコーナーに展開して下さい」というお達しがあったそうです。

近年のテレビ番組でも90年代のビジュアル系バンドの特集でL’Arc~en~Cielは出てきませんでした。

L’Arc~en~Cielメンバーの想い

tetsuの想い

特にリーダーのtetsuyaは「ビジュアル系」と呼ばれることを頑なに否定しています。自分たちが言われることを否定しているだけで、他のビジュアル系のバンドや音楽、ファッションについては否定していません。
tetsuyaはL’Arc~en~Cielを立ち上げた時から並々ならぬ拘りや想いがあり、やや馬鹿にしたような「ビジュアル系」と呼ばれることを嫌いました。自分たちでビジュアル系など言ったことはない、見た目で勝負しているみたいに思われたくない、音楽を聴いてほしいと強く思っていました。
メイクや髪を逆立てたりしていたのは、ステージに立つ上での当たり前のマナーで、自分が好きだったアーティストもみんなそうだったので何も抵抗はなかったと語っています。

hydeの想い

hydeはデュラン・デュランを例に挙げて「ルックスも好きだし、でも音楽も大好き。そういう受け止められ方をして貰うと一番嬉しい」「ビジュアル系といわれることは 自分としては嫌だけど、世間がそう言うからには しょうがない みたいな諦めがあった」と語っています。

kenの想い

kenはビジュアル系と言われることに対して「そうでもない、先行というか同じ歩調で行けば別に…。この人、音楽は良いけど顔ダサいって言われるよりは良い」と発言したり、2010年にTwitterで「自身にどういうあだ名をつけるか」との問いに対して「ビジュアル界一の黒さ」と語るなど、概ね悪くない印象です。

yukihiroの想い

ラルク加入前の「ZI:KILL」の時代にビジュアル系と呼ばれたことに対して「言うな」と思っていた。自分たちで「ビジュアル系です」っていうバンドが出てきた時点でラルクはビジュアル系とは違う。自分たちは「ビジュアル系」と言ってバンドなんてやってなかったと語っていて「ビジュアル系」を否定しています。

音楽評論家の意見

音楽評論家 市川哲史氏

音楽雑誌『音楽と人』の元編集長で音楽評論家の市川哲史氏は「誰がどう観ても聴いてもV系のくせに V系であること を頑なに拒否し続けている」と音楽雑誌で語っています。
2016年にX JAPANのYOSHIKIが主催したビジュアル系バンドが集う『VISUAL JAPAN SUMMIT 2016』にtetsuya以外のメンバー3人がソロで出演。tetsuyaだけが出演しなかったことに対して「tetsuyaの頑なさは、死ぬほど面倒くさいけど立派だと思う。でも初めて感心したよ、あの男に」と評価しています。

音楽ライター 藤谷千明氏

音楽ライターである藤谷千明氏は、ビジュアル系の代表的なバンドであるX JAPANと比較して、X JAPANとラルクは、背景とするものが大違いであり、メンバーの音楽以外の趣味、嗜好を指摘し「ラルクは明らかに文化系気質のバンド。ゆえにX JAPANを中心においたヤンキービジュアル系とは、根本的に趣味、嗜好が違う」と語っています。

結論

L’Arc~en~Cielはビジュアル系か?という問いに対しての結論は『見た目はビジュアル系だったけど、L’Arc~en~Cielが否定しているのでファンとしてはラルクの音楽性や想い、拘りを尊重し ビジュアル系でない』といったところでしょうか。
ラルクは見た目はもとより、ビジュアル系が流行った時期と重なり その括りにちょうど当てはまってしまい、また あえてビジュアル系と呼ばれるバンドも多数出てきたことから、どうしてもビジュアル系と言われてしまうのは避けられないかもしれませんね。

ラルねこはL’Arc~en~Cielをビジュアル系というジャンルではなく「L’Arc~en~Ciel」という唯一無二のジャンルだと思っています。